太陽と北風

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「なぁザックス弟、ライムちゃんとプラムちゃんどっちが良かったと思う?」 チョピンがライムちゃん、もといプライムには見向きもせずに俺に聞いてきた。 「どう違うのさ」 「爽やか可愛い系か、(筋)肉感的お色気系か」 「……救いようもない」 頭を抱えたくなった。 でも視覚的ダメージはライムちゃんの方がまだマシだろう。 あくまで相対的に見てだけど。 俺の後ろでは兄貴と未だ顔の青いプライムが、またくだらない寸劇をやりだした。 「プライム……」 「ザック……もうムリだ」 「そんなこと言うなよ! これまでずっと、頑張ってきたじゃないか!! こんなところで諦めてどうする!!」 「でも、俺……」 「ほら、立てよ」 「ザック……!」 馬鹿だ。 本物の馬鹿がいる。 身内でさえなければ、顔を見ながら指さして笑えるレベルの馬鹿がいる。 …………はぁ。 「あれ、おまえマツゲは?」 「あ、取れてら」 急に素に戻るとまたしゃがみ込んで何かを探しはじめるプライム。 「マツゲ、マツゲ……」 何でこいつ、ヅラは被らずに付けまつげは付けてたんだろう。 「もう馬鹿だなぁ、ライムちゃんは。ほら、鼻毛に紛れてるよ」 「きゃ、わたしったら」 うふふ、あははと笑い合う兄貴とプライム。 こいつら、こんなことばっかしてて楽しいのかなぁ。 甚だ疑問だ。 そしてたぶん永遠の謎だ。 ちなみにこの日、プライムがイッキした、ふえるわかめとカルピスは不発に終わった。 ホント、しょうもない。
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