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……ぽっ……ぽつ…ぽつぽつ…
「あ……」
薄い雲に覆われた空から小さな滴たちが降り注いできた。
アリサは雨が嫌いではなく、むしろ好きな方で何だか落ち着くのだとか……
ー、ふと前を見ると華刀が いつもと変わらないボーっとした顔で自分の方を見ていることに気が付いた。
何だろうなと思いながら歩みを進め、華刀の横にアリサが来た時ー、
「氷守さん…て、雨女だよな」
「え?」
華刀は滅多に喋らないのに自分に口を開いたということよりも彼が放った言葉にアリサは少し驚いた。
「急に何を言ってるの?;」
「いや…氷守さんが試合に出て必ず勝つ日って全部 雨が降ってるから…だから雨女なんだなって香川やみんな…言ってるんだ…」
そんなことを思っていたのかとアリサは思い、同時に確かに自分に運の良いことが起きる日には ほとんどが雨の降る日だなと思った。
「…うん…、確かに あたし自身でも心当たりはあるけれど…
そんなザザ降りではないでしょ;」
その言葉に華刀は どんな反応をするのかというとー、
表情一つ変えず、ただ黙ってアリサの顔を暫く見つめ、ふっと背を向けて先を行くのだった。
ちょっと調子が今だに合わないなぁとアリサは思いながら、
再び華刀の後に続こうとした時視界の隅に何か光るものが見え彼女は視線を変えてみた。
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