AVALON(c) 白羽の妖精

17/27
前へ
/27ページ
次へ
『行くよ!』 と叫び突撃する。決して多い人数を叩いたわけではない。しかし敵の陣形は確実に崩れていた。隙を突き5人倒す。 しかしまだ30~40人近くいた。血みどろのゲリラ戦。立ちながら射撃し2人を倒す。そしてもう1人を零距離射撃、308NATO弾の威力によりポリゴンが粉々になり散る。 周りを見るがグリトネアが明らかに不利、竜の双剣の分だけマゾエに兵が多いのだろう。今現在、この戦線で兵士の数の比率は2:1、負けそうだ。 「フェアリー5、M203を撃って。2、カバー!残りは退避!!」 『フェアリー5、グレネード発射。』 「よし、皆走れ!!いや、伏せろ。伏せろぉ!!!」 全力疾走で後方へ走っていた私は万歳の格好で地にダイブ。荒々しい砂がグレネードの振動で震えだす。その後の強い衝撃波によって吹き飛ばされる。さらに爆音が発生、耳が消去されそうだ。 思ったより仲間の行動が鈍かったので私も取り乱してしまった。あの時はヒヤッとしたが皆無事のようだ。 しかし爆発によってか本能的な自己防衛からか身体がフリーズ。 動け、動け、 筋肉プログラムが応答しないのに、感覚プログラム、脳接続システムが正常に稼動しているという恐怖。それはフリーズが溶けたことを知るのに1拍遅れた原因だった。 急いで立ち上がり、後ろへ警戒する暇も無く走り建物のドアを蹴って入ろうとした。 右の頬にソニックブーム、流線型の弾丸が顔の右側と脳をきつく撫でた。 血が滲む。私は長い髪をたなびかせ、血を美しく撒き散らし後ろを向く。同時にサイドアームのFNハイパワーを抜き1発撃つ。 空薬莢が右上方向へ飛び、私に傷を与えた敵の身体も飛んだ。そしてドアを閉め、階段で上がる。 同じ建物内へ逃げ込んだのは私を含め6人だった。全員の顔を見て屋上へ行くように指示。階段を上った後、FALで階段を壊しておいた。これで敵は上れない。 屋根へは直接行くことができず、裏の窓から屋根へ上がった。隣の屋根へは5m弱あったが恐怖してミスさえしなければレベル的には全然問題ない。 全員いることを確認し、まず3人飛ばし、残りの2人は動揺していたので先に私が飛ぶつもりだった。助走をつけ、建物の端を力強く蹴り上げたその時ロケット花火のような音がした。最悪の可能性が頭をよぎる。 「走れぇ!!」 空で残りの2人に向かって叫ぶ。猫背のようにして天地を逆さに、両膝の間から後ろを見る。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加