AVALON(c) 白羽の妖精

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引き金を1度引く。 空薬莢が排出され、ポリゴンも地に対し放射状に展開。それらはもとデータと共に弾けて消えた。 敵が全員撤退したのか空中に輝く<MISSION COMPLETE>の文字が怪しく美しく現れる。 そうすると全ての余分なデータが簡略化。そして再度白い空間へ… ならない。また別の戦場がダウンロードされ、3次元空間へフィードバック。 グリトネア軍勢は1人残らず銃を抜き、互いに向け合った。      ―誰だ、勝手しやがったのはッ!―                  ―俺じゃあねえ、お前だろ!!―  ―決め付けてんじゃねぇ!この○○○!!― グリトネアが分裂した。まるでランスロットが巻き起こした円卓の内戦のように。いや、そっちの方がまだ良かったのかもしれない。 戦場には敵がいなかった。戦士のそこそこである索敵能力でも相手を捕捉できないからそうなのだろう。 いや、強いて言えばグリトネア全員が敵だ。全員がもめ合い、睨み合い、罵り合い、かつてのグリトネアの面影などなかった。 「黙れ!!!」 キングビショップのボリューム最大コマンドの声は戦場の全てに響いた。いつのまにかその声が響き渡るほどに静かになっていた。 「まずこの状況、これはこの中の誰の仕業でもない。 リセットコマンドを打ってみろ。誰もできやしない。 それにこのステージ、初めて見ただろう。こんなステージはAvalonに存在しない。」 確かに、そう言われてみればそうだ。落ち着かせて、改めて見てみると見慣れぬ地だった。 「俺は過去ログを調べてみたが過去に不審な行動をした奴も、非公式な端末からアクセスしているやつもいない。 それに個人でこんな精密過ぎるステージを作るなんて相当ヒマな奴しかできねえ。」 ごもっともだと皆が思う。 「このステージは<クラスS Avalon>だそうだ。」 Avalon、アーサー王が死後埋葬された林檎の島。このゲームの名でもある。 再びざわめき始めたその時、空中に電光文字が現れた。 <勇気ある騎士達よ。 我はモルガン・ル・フェ。この島を守る者なり。 王の復活を願いこのアヴァロンの地へ訪れたことを感謝する。 しかしアーサーの後継者となれるのは1人だけだ。 1人だけ決めろ。他の者はこの地にて葬られる。> これは…この内容はアーサー王伝説には無い。まさか、アーサー王伝説の続きでも創造しようとしているのか? 「どういうことだ?王の継承?…エクスカリバーでも貰えんのか?」
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