AVALON(c) 白羽の妖精

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 フェアリーを二分させ、前方の部隊が敵の右側へ突っ込み、後方の部隊が援護。  一見無謀に思われるかもしれないが、これだけ多人数の部隊であるとよっぽどの訓練をしなければ指示がうまく伝わることはそうそうない。  なのでせっかくの適切な判断が活かせない場合が多いのだ。  私は3が来るのを確認し、共に突っ込む。3の左後方を走る。 左、右、左、右と交互に警戒しては敵を撃つ。FALは半端なく反動が大きい。だから長時間の連射は無理だが数発ずつ撃つ点射ならレベル的にギリギリ大丈夫だ。 「フェアリー3、対極の剣!」 「りょーかいっ!!」  3と私の背が一度触れバウンド、その間にタクティカルリロードを終える。  バウンドの衝撃エネルギーデータが0になる頃には無意識に左手の甲がコッキングレバーを叩いていた。  スライドが閉じる勇ましい音と共に薬室が密閉。  私は右側、敵がいない方向を向いていた。右横や左横でうろちょろしている敵を撃つ。後ろ3のTH89がうなりをあげる。  3は司教であるので通常なら火力に乏しい。しかしこのAVALON(c)では開発当初からキングビショップのような階級が予想されていたのか司教の基礎パラメータは戦士に近いものに設定されている。それは国一番の司教のサポートができる突撃銃以上の装備が不可能な戦士とも言える。  しかし実際私が指揮をとり彼女がその指揮力でサポートしているので元祖AVALONでもほとんど戦士なのだ。  彼女のTH89はかつてこの国に存在した<専守防衛>をかかげる不思議な軍隊の正式突撃銃<89式小銃>であり、これはもともと三点バースト機構を備えている。  これは前世紀のベトナム戦争で米軍の若い兵士が恐怖からフルオートで引き金を引きっぱなしにし、弾薬を無駄にするだけでなく、射線上にいる味方にも危害を及ぼす危険性がある。なので複雑であるが一度引くだけで三発ずつ出るような機構を取り入れたのだ。  これで以上の問題は解決された。さらにAVALONでは全てが限りなく実物に近く設定されている。弾薬代も例外ではないのでこの機構を取り入れた銃は以外にもAVALONで重宝されてきた。  三点バーストのリズミカルな発砲音が心地よい。まるで音楽のようだ。  五回目にしてようやく途切れた。背に接触反応、交代の合図。  左足を後方に置き、膝を曲げると同時に左回転。片膝をつく形で間逆を向いた。
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