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本編
いつの頃からか天の川と呼ばれている川がある。
そこに架かる橋で、7月7日に初めて出会った男女は恋に落ちるという古い言い伝えがあった。
私はその言い伝えを子供の頃から知っていたけど、まさかそんなことあるわけないとまったく信じていなかった。
だけど、去年の7月7日の七夕に、同じクラスの友達3人が、初めて橋で出会った男の人とその日に付き合うことになったのだ!
その友達3人も言い伝えは信じていなかったけど、たまたま男の人から道を訊かれたり、ナンパされたり、ハンカチを落としたりして橋の上で声をかけられたらしい。
3人も同じ日に、それもナンパスポットでもない辺鄙な同じ橋の上でとなると、言い伝えは本当なのではないかと思い始めていた。
今日は7月6日。
そんな出来事があってから、彼氏が出来たことのなかった私は、明日の七夕を1年間ワクワクしながら待っていた。
幸い明日は土曜日で、学校(女子高)は休みだ。
1日中橋の上で私の彦星様が現れるのを待っていようと心に決めていた。
その時、部屋のドアがノックされた。
はーいと返事すると、ドアが開いてお母さんが顔を覗かせる。
「明日、天の川橋に行くつもりでしょう?」
「もちろん。だって、1年間ずっと待っていたんだから」
私が友達と電話で話していたのを聞いていたようだ。
「1日中橋の上で待っていても彦星様は現れないわよ。時間帯によって現れたり、現れなかったりするんだから」
「え? そうなの?」
「お父さんがそうだったんだから」
お母さんは気になることを言ってドアを閉めた。
まさか、お父さんが天の川橋に現れた彦星様だったなんて……。
私はお父さんよりもかっこいい彦星様が現れるのを期待して、その日は早めに眠りにつくことにした。
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