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………夢、か。
柔らかな朝日に目を覚まし、上半身を起こす。全身を使って伸びをすると、朝の空気が肺に流れ込み、心地良い。
「一年、経ったのか…」
大欠伸をしながら、もう一度伸びる。やはり、朝の空気は心地良い。
まだハッキリしない頭を掻き、ベッドに腰掛ける。ギシギシと鳴りながらも上下に動くそれは、フカフカの証。
寝間着を脱いで立ち上がり、クローゼットの中から服を取り出す。
頭から勢い良く被るように着ると、お日様の良い匂い(ダニやノミ等の死骸や糞の臭い)が鼻腔をくすぐる。
「……行くか」
少し乱雑になったシーツは無視し、朝飯を食べる為に食堂へと向かう。
この魔王城には基本、魔物が住んでいるが、人間も数人いる。
食堂は主にその人間達の為で、人型の魔物がたまに利用したりもする。
食堂に近づくにつれて、今度は焼けたトーストの香ばしい香りが鼻腔を満たす。
もう少し近づくと、ソーセージの焼ける音が聴覚を満たし、それらに伴い、眠っていた頭が回転を始める。
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