3人が本棚に入れています
本棚に追加
家へとついてから考える。
これは現実か、と。
確かに現実なのだが、実感がなく、頭のどこかからぼんやりと現実を疑う思想、恐怖が押し寄せてくる。
玄関を開け、靴を脱ぐ。そして渇いた喉のために水を飲む。
・・・。
じんわりとした違和感。
今確かに靴を脱いだ、しかし、実感がないのだ、汗が一滴落ちる。
自分は今、数秒前に本当に靴を脱いだのだろうか?それとも、実はかなり前からこの愛しの我が家(アパートの一室に我が家とは変に聞こえるが)から出ていなくて、寝起きの後の夢心地のままの未来の自分を想像した若き自分だろうか?
はやく、はやくねなければ、夢から覚めなくては。
薬を飲み、水を飲む。
・・・今自分は・・・
いや、辞めよう。
自分で自分を追い込むのは、望ましくない。ズボンではカサリ、と紙らしきものの音がベッドに倒れ込む瞬間、聞こえた。
しかし本人は聞くことなく眠りに入っていた。
キッチンへと続く道は閉めきられておらず、コップに余った水からは本人が飲んだという事実が浮かんで、本人を覗き込んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!