第一話『異世界』

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(『ゼルファム』…)   狩璃はその名前も知っていた。 自分のシナリオの中にも同じ名前の町が同じファルシア国王領土南東で出てきたから。 (ここは『イマジンワールド』の中なのか…) 狩璃は少し鬱に成る。 幾ら自身がその世界に憧れていたからと言って、その中に入ろうとは思わない。 何故、自分がここに居るのか…その答えは狩璃には分からない。 誰にも分からないだろう。 この世界を作った神がここに居て、自分が居る意味を知らないのだから。 (これからの事を考えないとな…) 狩璃はある意味落ち着いていた。 そう現実で訳の分からない所に来たのではなく。 既に『非現実』の中に何故か居るのだから。 これ以上の『非現実』は無いだろう、と逆に考えていた。 「あ、そういえば…自己紹介してませんでしたね。私はリル・ファイラです。さっき居たのが兄の…」 リルが思い出した様に、そこまで言った所で狩璃が重ねる様に言った。 「ギル…だっけ」 「やっぱり兄さんは自己紹介していましたか。貴方の名前も聞いて良いですか?」 狩璃は少しだけ困惑する。
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