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もし、スパイなら敵に情報を与える事になる。
リルはそれを黙って観ている。
観ている事しか出来ない。
ギルはリルの直属の上官なのだ。
兄でもあり、上官でもあるギルの決定には逆らえない。
それにリルも不安なのだ。
シュリは赤の他人。
しかも森で倒れていた怪しい人間。
まだ素性も明らかではない。
そんな人間を信用など出来る筈もない。
「貴方を王宮に連れて行く。貴方の瞳には力がある。ただの一般人とは思えない」
ギルが少し諦めた様に、また呆れた様に言った。
その言葉にシュリもリルも驚く。
こんなにあっさり認めるとは思っていなかったから。
「その代わり条件があります…」
ギルは後ろを向き、廊下の方に歩いて行きながら言う。
「いえ、やっぱり良いです」
ギルは言い止まる。
(ここで言えば、彼はもっと警戒するでしょうし…。もっとも言い淀んだ事で既に警戒してるでしょうが)
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