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魔法科学の世界『イマジンワールド』。
人の持てる力が器に寄って決まった世界。
それは想像、空想、幻想。それは一人の少年の作り出した物語。その少年の名は『入江狩璃(イリエシュリ)』。剣道の師範代である父と科学者の母を持ち、通う高校でも文武両道の有名人、だがその裏の姿は自身の物語の創作に勤しむただの少年。
その世界に憧れ、自身の持つファンタジーの知識を惜しみなく使用して作っていた。
ただそれだけの空想小説の筈だった。
入江狩璃は絡まれていた。
同じ高校の不良に。
恰幅の良い男が狩璃の周りを囲むように、何人もいた。
「お前、俺の女に色目使ったんだって?」
威圧的な声で怒鳴った男。それはこの高校の三年生で一部の人間からは『ボス』と慕われていた。強いのかどうかは今年入学した狩璃には分からないが、その存在は知っていた。この学校で一番敵に回してはいけない男だと。
「俺は別に色目を使った覚えはないし、あんたの女ってのも知らない」
その言葉に周りの男たちがざわめいた。
「あん、ふざけた事ぬかしてんじゃねぇ!」
「そうだ!知らない分けねぇだろ!この高校のアイドル、結城詩乃(ユウキシノ)さんだよ!」
結城詩乃という名前には聞き覚えがあった。
それは前の日曜に他校の不良に絡まれていたところを助けた。ただそれだけだ。
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