プロローグ

2/5

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
魔法科学の世界『イマジンワールド』。 人の持てる力が器に寄って決まった世界。 それは想像、空想、幻想。それは一人の少年の作り出した物語。その少年の名は『入江狩璃(イリエシュリ)』。剣道の師範代である父と科学者の母を持ち、通う高校でも文武両道の有名人、だがその裏の姿は自身の物語の創作に勤しむただの少年。 その世界に憧れ、自身の持つファンタジーの知識を惜しみなく使用して作っていた。 ただそれだけの空想小説の筈だった。 入江狩璃は絡まれていた。 同じ高校の不良に。 恰幅の良い男が狩璃の周りを囲むように、何人もいた。 「お前、俺の女に色目使ったんだって?」 威圧的な声で怒鳴った男。それはこの高校の三年生で一部の人間からは『ボス』と慕われていた。強いのかどうかは今年入学した狩璃には分からないが、その存在は知っていた。この学校で一番敵に回してはいけない男だと。 「俺は別に色目を使った覚えはないし、あんたの女ってのも知らない」 その言葉に周りの男たちがざわめいた。 「あん、ふざけた事ぬかしてんじゃねぇ!」 「そうだ!知らない分けねぇだろ!この高校のアイドル、結城詩乃(ユウキシノ)さんだよ!」 結城詩乃という名前には聞き覚えがあった。 それは前の日曜に他校の不良に絡まれていたところを助けた。ただそれだけだ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加