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■ヴィリヴァルディット歴 508年■
国最西端に位置する灯台からは、ラウラ海が一望できる。
その、切り立った崖の上。
「夜の海って、なんだか怖ろしい……。
でも、これしかないものね」
夜風に長い髪を遊ばせながら、高貴なドレスの上からそれを隠すように大きな布を羽織った女性が囁いた。
「私は、今まで沢山のものを怖れてきた。
それでも……不思議だね。
貴女と一緒なら、怖くはないよ」
女性がその身を預けている、彼女と同様に高貴な身なりを布で隠した男性が囁いた。
彼は海を指差し応え、もう一方の腕で彼女を抱き寄せる。
二人の間に暖かな空気が満ちようとしたその時である。
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