深紅

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ベットサイドに置いてある煙草に手を伸ばし火をつけた 「ほんとに男前だよね 美咲は」 私から煙草を奪い吸いだした 「褒め言葉としていいの?」 さぁ~、なんて微妙な呟きの彼 「仕事は相変わらずなのか… もっと楽な職場に就けばいいのに うちの管理の薬局なんてどう?」 「辞めれるわけないでしょう どこも薬剤師なんて不足してて、しかも啓治の紹介なんて… ファンに睨まれたくないから」 ふぅ~と、ため息を吐く そんなにファンなんかいないよ、なんて爽やかな笑顔を見せた ベットから抜け出し、下着を身に付ける 椅子に掛けてある服に手を伸ばす 「泊まっていかないの? 明日、休みなのに」 携帯を開けば午前2時を過ぎていた 今まで泊まった事はない 一時の情事が終われば自宅のマンションに帰る 「来週は…青を貸してくれる?」 「了解 いつものキー持って行って」 「じゃあね…」 寝室ドアを開いて、軽く手を上げた 玄関の靴箱の上のキーケースから、お目当ての鍵を手にする 今日も儚い時間を胸に啓治のマンションを後にした
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