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真白
月曜を迎え、白衣に袖を通す
「先生、おはようございます」
「おはよう
綾ちゃん、掃除御苦労様」
笑顔で声をかけて、棚の薬を確認していく
不足しそうな薬品をメモしながら、綾ちゃんに視線を向けた
ガーゼで粉薬のボトルを拭く彼女が口を開く
「今日のお昼、高橋さんと野呂さんとランチ行くんですけど、先生もいかがですか?」
綾ちゃんはにっこりして私の返事を待ち構えていた
「そうだね
じゃあ、私も」
はい、と返事をして綺麗にいつも使うボトルを並べて、調剤室を後にした
高橋さんと野呂さんは、ここに勤めて十数年の40歳前半の先輩事務員だ
綾ちゃんは今年2年目の新人さんって立場
新人っていっても2年も働いてるので、やるべき事はちゃんとしている
女だらけの職場だが、まぁ上手くやっている
28になる私にとって、綾ちゃんは妹的存在だ
少し茶色の肩より伸びた髪は、仕事柄二つに束ねている
長い手足も今時の若い子らしく、小柄な綾ちゃんはリカちゃん人形のようで可愛い
珈琲を片手に
「先生どうぞ」
手渡してくれたマグカップに口をつけて気合いをいれた
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