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「後は、この子を元々いた世界に返せば良いだけね」
「あぁ。本来はお家に返すべきだろうが、このアイテムではそこまで厳重な場所指定は難しいからな」
マスターは奈都美に織姫猫を置くように促すと、右手に不思議な水晶を出し、織姫猫にかざした。
すると、織姫猫はどんどん光に包まれ消えていく。転送されているのだ。
「もう1匹の猫と早く再会出来る事を祈るぞ」
「織姫ちゃん、彦星くんと仲良くね!!」
奈都美が手を振ると、織姫猫も同じように手を振った。そして光が一層強くなり、織姫猫は完全に消えた。
役目を果たしたかのように、水晶は砕けて消えた。
「さっ、2人もそろそろ夕飯の準備もしてると思うし、私達も戻ろっ!!」
「あぁ、その前に……」
走り出そうとする奈都美を、マスターが止めた。
「その世界では七夕と言うお祭りがあり、その時に珍しい草に短冊と言う願い事を書いた紙を飾るそうだ」
「それが、どうかしたの?」
「2人の会話を聞くに、2人は願い事があって探していたようだが、奈都美はどうなのだろうと思ってな」
「そりゃ、私にだって願いはあるよ。でもね」
奈都美は笑顔で言った。
「マスターには、教えないよ!!」
「なっ、こら待て奈都美!! 私にとはどういう意味だ!?」
「そのままの意味……きゃっ!?」
奈都美は大慌てでマスターから離れようとした。が、転んでしまい、敢えなく捕まった。
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