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俺達は暫く、話をする事もなく歩いていた。
クレイジーがどう思っているのか、俺には分からなかった。
「……美智」
奥に辿り着くちょっと前に、クレイジーが俺に話しかけた。
「……俺はよ、最悪奈都美が俺に振り向いてくれないエンドでも構わねぇと思ってるんだぜ」
「クレイジー、それって」
「けどよ!!」
立ち止まったら、クレイジーと俺の目が合った。クレイジーには強い気持ちが目に出ていた気がする。
「この現状、俺以外で奈都美を幸せに出来るやつがいるとは思えねぇ。だから俺は!! 奈都美を愛していく!! 今も、これからも」
クレイジーの奈都美に対する強い想いが、俺にも伝わってきた。
「それが例え」
「例え、奈都美が俺達の想いを、ずっと知らなくても。いつか知ってもらえると言う望みがなくとも」
「……美智っ!?」
「そうだろ。クレイジーが、俺達が言いたい事って」
言い当てると、クレイジーは目を見開いて俺をジッと見た。見た後に、笑った。
「……お前なぁ、それは俺が言った方がカッコいいセリフだろが」
「クレイジーなんかより俺が言った方がしっくりしてるって」
「言ったなこの野郎」
洞窟に俺達の笑い声が響いた。
こんな風にクレイジーと一緒に騒いで、マスターと一緒に料理作って、奈都美と一緒に楽しい話をして。
俺達、皆で一緒にいる事が幸せで、俺の願いでもあった。
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