年老いた老婆

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年老いた老婆

「それからどうなったんですか?その人は」 「まあまあ、そう焦らずに……。話は逃げはしませんよ」 制服に身を包んだ少年が手を挙げながら質問すれば、白髪の混じる老婆は笑みを漏らした。 真夏の照りつける太陽と雲一つない空の下、慰霊碑の前で語る老婆の周りには、修学旅行生でごった返していた。 他県からこの地に足を運ばせる者は数知れず……。 慰霊碑に花を手向け黙祷を掲げる団体があれば、周りに広がる海を眺める者もいる。 慰霊碑の前で体育座りをしながら、老婆の話を聞く団体の中学生。 中には体育座りが苦痛で生徒同士コソコソ話をすれば、引率の先生に《静かにしなさい》と注意されるその姿に、老婆は怒りもせず暫し笑みを漏らしていた。 「これから話す事は、実際私が体験した事や周りで起きた事を話すわね。足を崩してもらっても構わないわ」
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