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まん丸な翡翠の瞳が兎に向けられる。
小さく、まん丸で、フニフニなそれに、
兎は思わず、目を見開いて驚愕した。
「お望み通り、『約束』だ」
言われた言葉に、兎が凌を見れば、
兎のその反応に、凌は満足そうに口の端を持ち上げている。
「『雛(ひいな)』だ」
言われて、差し出されたそのフニフニに兎は手を差し出す。
分かっているのか分かっていないのか、
兎の腕に渡った雛は、泣くこともなく兎の両手に収まり、
きゃっきゃと笑い声を上げた。
あったかくて、柔らかくて、まだまだ乳臭い。
「ひいな」
「あーうー」
無機質な声が呼べば、しっかりと返事が返ってくる。
「兎が雛の兄様(あにさま)だよ」
「う!!」
「分かるのでありんすかね??」
しっかりと返事をする雛をみて、結が呟く。
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