旅の章(終章)

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「楽しかったですか?」 聞かれて結は狐を見上げる。 優しい表情で結の顔を覗き込んでくる異父兄に、 結は力強く頷いた。 「あい!!」 生まれてこのかた、住む国に閉じ込められるようにして生きてきた結にとって、この三年間で見て経験したものは、全てが新鮮で、初めて尽くし。 何もかもが楽しかった。 「ーーーーーーーーー結様!!!!!」 「ーーーーーーーー凌様!!!!」 と、そこへ門番に報告を受けた面々が凄まじい足音と共にやってきた。 「成様」 先頭に事実上の夫の姿が視界に写り、結がやんわりと微笑む。
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