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『結…』
常に無感情な彼の瞳が、それでも自分を呼ぶときだけはとても柔らかくなるとき
自分の偽りの全てが後ろめたくなった。
だけど、どんなに一緒にいても彼に惹かれることは無く、
彼に対して何も与えられない自分にはもう、身ひとつしか残ってなかった。
自分を抱くときの彼の瞳と腕の優しさが、憐れで、そこだけに愛しさを感じた。
彼への同情しか生まれない、
なんの感情も伴わない行為は、触れられるたびに益々自分の心を冷やしていく。
しかし時は止まらず、進み続け、自分の12歳の誕生日を迎えた席で、
とうとう輿入れの日が決まった。
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