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『貴様には転生の権利がある。故に選ぶがいい、転生するか否かを』
高圧的な台詞。しかし、それが許されるだけの覇気ともいうべき圧倒的な力を安寧な怠惰を貪っていた自分ですら感じた。
「転生とは何かを教えて貰いたい。それと肯定と否定を選んださきの結末を」
しかし、あいにく無学な俺はそんな相手に対する敬意の表し方を知らないわけで、どこか変な言い回しになった。
頬が熱くなるのを感じた俺だが、相手はそんなことは些細なことらしく、淡々と抑揚の無い無機質の美ともいえる音をはっした。
『転生を選ぶ場合は、貴様には幾つかの特典を選ばせ、生前とは違う世界に行って貰う。もし拒否した場合は、そのまままあの世に行って貰う』
聞き間違えでなければ、俺は死んでいるらしい。何処までも平淡な言葉や始めて会うような存在の台詞を信じるのは愚かな行為の筈だが、何故だかすんなりとその台詞が精神に吸い込まれ、あぁそうなんだなと、思ってしまった。
そして、自身の死を当たり前のこととして受け入れた俺は、次にこの転生というよくわからない権利を使うかどうか考えた。
難しい言い方だったが、簡単に言えば、肯定すればまた生きれて、否定すれば死んだままということだと思う。
なら俺の答えは……。
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