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「ふえっ…っく…バカヤロー…!!」
私は、春の爽やかな風を感じる事も出来ずに
一張羅のドレスを身に纏い、この世の終わりかと思われる様に泣き続けていた。
…笑顔を作るのが苦しかった。
“おめでとう”と言葉にする事が辛かった。
3ヶ月前。
付き合っていた彼氏に突然別れを告げられた私。
別れの理由は、
【好きな人ができたんだ。】
ここまでは良くある話し。
でも…ここからは様子が違ったの。
【亜紀ちゃんに、子どもが出来たんだ。】
【亜紀…って?】
聞き覚えのあるその名前。
まさか…私の友達の…?
【沙耶の友達の…亜紀ちゃん。】
【っ!!?】
亜紀は間違いなく私の友達。
でも、そんなに頻繁に連絡を取ったりはしてなかった。
だから、彼氏がいる事はもちろん伝えていたけど、紹介したりしなかった。
わざわざ改めて“この人と、付き合うことになりました”なんて照れくさいでしょ…?
【それで…頼みがあるんだ。
亜紀ちゃんに、お前と付き合ってた事、隠したいんだ。だから、黙っててくれないか?】
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