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ああ、まただ
またこの夢か
月に照らされる二人の男
今の時代には似つかわしくない服装だ
一人は月に何かを願い
一人は包むようにもう一人を抱きしめている
顔ははっきりとは見えないけれど
二人が幸せなのはわかる
「…なんなんだ」
街の光りがうっすらと差し込む部屋で元就は目を覚まし独り言を呟く
ぼんやりとした意識の中時計を確認するとまだ午前2時
ふぅと溜息をつきつつ隣を見れば熟睡中の恋人の元親
ここ最近同じ夢を見ては目を覚ます
けして嫌な夢ではない
むしろ安堵を覚える
しかし頻繁に目が覚めるのも考えものだ
「…相変わらず間抜けな寝顔だな」
目が覚めた腹いせに元親の頬を軽く引っ張れば唸りながら寝返りをうち元就の腰に絡み付く
「…馬鹿め」
その様子を見てふっと微笑み元就は自らも元親に抱き着き再び眠りに入ろうとする
薄れる意識の中元就は考えた
月に祈っていた願いはなんだったのだろう
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