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石黒をナビゲートするのは加代さんだ。
しっかりした指示で、車は順調に進んでゆく。
後ろの席はさぞお祭り……いや、みんなお昼寝中。
「アニー コワイ……」
「大丈夫よ?みんな優しい人達だから」
冴子に頭を撫でられ、少し機嫌が直ったアニー。
車はどんどん郊外へ進んでゆく。
やがて、古いニュータウンが見えてきた。
「この奥よ?車はあそこの駐車スペースに止めてくださいな」
『お客様』と、手書きの駐車スペースは、雑草だらけの空地の隅。
寝惚けまなこのじいちゃん、ばあちゃんもぞろぞろ降りてきた。
「ファァァ~、よく寝たのお」
「着いたのか?」
「ほらほら!着いてますよ!みんな起きて、起きて!仕事、仕事!」
加代さんの声にお年寄り軍団は腰をグゥンと伸ばす。
「うむ、着いたの。それでは……」
お年寄り軍団は石黒達に向き直ると、口々にこう言った。
「ようこそ!死神マンションへ!」
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