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「どこに電話してるんだ?」
「家に繋がるか試したんだが、繋がらなかった」
通話中だろうか、一向に繋がる気配が無かったらしい。
だがこの場所に留まっていることも出来なかった。
既に近くには奴らがウヨウヨしているからだった。
「とりあえず急いで逃げたいが、走って行くには距離もあって危険だし・・・」
使えそうな道具を探すために辺りを見渡す、すると近くのコンビニに1台の軽自動車が止まっているのに気がついた。
近くに行くが運転手はいない、乗って逃げてないとすると死んだか置いて逃げたのだろう。
そんなことはどうでも良かった、周りに生きている人はほとんど見えなかった。
見えるのはフラフラ歩きながらこちらに向かって来る奴らの姿がほとんどだった。
「こいつに乗って逃げるぞ!」
「いいけど永作、誰が運転するんだよ!」
「とりあえず俺が運転するから、急いで車に乗り込め!」
「運転できんのか!」
「安心しろ栗栖!誰だって最初はあるさ!」
急いで車を出そうとして気がついた、さっきまで居たはずの河野の姿が見えなかった。
近くを探しても見当たらないが、目の前のコンビニを見ると、
「あいつ!コンビニで何やってんだよ!」
「急いであいつを連れ戻せ、もう時間がないぞ!」
「分かった!」
栗栖と中洲は急いで車を降りて、コンビニに入っていく。
そして何故か河野を連れ戻さずに、買い物かごに様々な商品をぶち込んでいっている。
そして奴らがすぐそこまで迫ったときに、ようやく帰ってきた。
手には持っている買い物かごには、大量に入れられた食品や懐中電灯、電池、ろうそく、ライターなどが入っていた。
「遅いんだよ!運転したことなんて無いが、しっかり掴まってろよ!」
「「「了解」」」
アクセルを思いっきり踏み込み、この場所から逃げるため一気に加速していく。
とにかく逃げていた、助けを求める人々を素通りしてまでも・・・
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