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私は、ご飯も食べ終わり片付けをしていた。
父「あやー、…ごめんな?」
新聞で顔を隠しながら聞こえるか、聞こえないかの声で父が呟いた。
勿論私にはハッキリと聞こえていた。
でも、聞こえないふりをして洗い物を済ました。…父の新聞を持っている手が強く握り締めていあったから。
そして、母との約束は朝9時。母が私たちの家に来ることになっていた。
時計をみると9時…10分前。
大きな荷物は殆ど父が車に積んでいたから、持って行くのは自分の洋服や小物だけだった。昨日、全てバックに詰めてある。
─────
───ピーンポーン
そろそろ…か、と思っていたら玄関のチャイムが鳴った。
父「………きたか。父さんでるよ。」
父は、一言言って玄関へ向かった。
綾「……………。」
ガチャ
リビングの扉が父によって開けられる。
父の後からショートカットで茶髪の女性が入ってきた。母だ。
直感的に身体が強張る。
母は、若い。そして、厳しい人だから。
母「………綾香?」
リビングに入ってきたにも関わらず
キッチンで立ち尽くしている私に母が声をかけてきた。
綾「………ママ。」
そぉ声を出すのがやっとだった。
父「綾香?こっち座りな?父さんがお茶入れるから。」
父はキッチンに入って私の背中を押してコップを出し始めた。
私はリビングに戻り恐る恐るソファーに座る。私の対面には、母が何も言わず俯いて座っている。
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