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と、背後から素敵なソプラノボイスのラブコールが飛んできた。
「ちょっとそこのアンタ、待ちなさい」
刹那、俺の体がびくりと震え、凍りついた。
あまりにも必死に走りすぎていたため、気づかなかったのだ。
――――そのうら若き(?)少女に。
俺は恐る恐るちらりと背後を振り返って、確信した。
もはや悪夢での主人公になりかけているこの少女を、見間違うどころか忘れることなんてあり得ない。
西条美鶴(さいじょうみつる)。
少女が可愛らしいのは、まあ認める。
白い肌へ流れる艶やかな茶髪が、女の子への免疫が乏しい俺にとっては眩しいくらいだ。
例の一件がなければ、『お前は一生独り身でいろ』と冷やかされる烏丸快斗である。
美少女にいきなり話しかけられたら、新手の詐欺かと疑ってしまうだろう。
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