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「……待てと言われて待つ馬鹿はいないと思うのですが」
「今日こそ決着をつけるわよ」
訊いてないのね、と肩を落とす。
彼女はいつもこうだ。
鼻息荒げて追いかけてくる挙句、攻撃が当たらなければ不機嫌になるし、時代劇みたく倒されたフリをしても見破られて激怒される始末。
まったく理不尽極まりない。
「……てか、俺が何をしたってんだよ。食いモンの恨みか?」
「んーーーー……。何だっけ? 昔のことは忘れたわ」
ごく最近の話だったと思うのは俺の勘違い?
俺はため息をついた。くどいようだが、いっつもこんな調子の女の子だった。
かれこれ出会って一ヶ月は経ったのだが、名前を呼び合う以前にまともに自己紹介すらしていない。
友達経由で美鶴の名前や性格を知ったほどだ。
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