異常を求めるひと

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異常を求めるひと

アーケード街の隅から隅までに鳴り響く子供だましの曲を何度も頭の中でリピートさせながら、茶色い紙袋を両腕いっぱいに抱えている私は、麗な橙色から澄んだ紫へと色を変えていく空を見上げつつ、静寂の帰路についていた。 大学の講義を終えてから直ぐに買出しに来たので、本来ならば数時間はもっと早くに私の飾り気のない殺風景な部屋へと帰れるはずだったのだが、途中で偶然にも私好みの雑貨品店を見つけてしまったせいで時間を搾り取られ、ついでに財布の中身も幾ばしか持っていかれてしまったのだ。結果として私は、鳴らしてくれる相手のいない携帯電話がポケットから落ちないか意識の片隅で確認しながら、もう日も暮れるだろう時間に帰らなければならなくなってしまったのである。
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