異常を求めるひと

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お気づきでない方のためにも一応補足説明をさせてもらうが、先程説明したとおりパーク=公園であり、公園=パークである。このことを踏まえると、公園の名前にはなんと、同じ意味を持つ言葉が二つも連続して並んでいるということになってしまうのだ。世の中にはシンメトリーという言葉があるが、それはあくまで視覚的な意味合いで使われるべきであり、パークと公園の間に縦に線を入れたところで線対称になるはずがない。これが矛盾と呼べるのかどうか、と考える方もいるかもしれないが私は、このネーミングセンスは、ネーミングをすることの意義に対して激しい矛盾を抱いていると考えている。 ネーミングとはその物体、事象、またはそれ以外のあらゆるものの意味を、それを理解していない人にも理解してもらう為に付けられるもののはずだ。小説やコミックなどのフィクションのタイトルなんかでは、あえて意味不明なタイトルにして読者の好奇心を刺激し、内容を読ませてから、あーそうだったのか!とさせるような意図のものも結構あるようだが、それには"意味不明"という意味があり、ネーミングの意義に矛盾はしないと思う。 しかし、「パーク公園」という名前には一体どんな意味が含まれているというのだろうか。一目見たときに受け取る印象は、否定しきれない適当感そのものであり、常連客である私を小バカにしている風にすら感じれる。これに似たネーミングセンスでは、ナイル川、ガンジス川、サハラ砂漠などがあるが、これは元の言語を日本語に直したときに生じる、強制的な日本語の独自性に従ったせいであり、どれも英語ではシンプルにザ・ナイルだとか、ザ・ガンジスだとかと呼ばれている、らしい。じゃあこの公園も、その日本語の独自性に従った結果なのかと問われれば、確実にNOであろう。明らかに日本人が建てたものであるし、なにより、看板に描かれている一世代前の笑っている子供の絵が、私を少しばかりいらっとさせるからだ。これは偏見ではなく、率直な感想なのでご容赦いただきたい。
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