prologue

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「ぐっ…!」  俺は振り下ろされた漆黒の剣の重い一撃を、右手の白き輝きを放つ純白の愛剣、白い(ホワイトファング)で弾き返す。  相手が反動で硬直している間に右側から背中に回り込み、すばやくホワイトファングを上段に構え、勢いよく振り下ろした。  しかし盛大に金属と金属がぶつかりあう音が響いただけで相手にダメージは伝わっていなかった。 「くそっ!かてぇ!」  相手がこちら側に勢いよく右側から振り返ると、同時に流れてくる中段水平切りの斬撃をバックステップでかわす。 「キリがねぇなこりゃ…」  さっきからこの状態が続いている。  俺の目の前の敵、黒き楯、黒き甲冑、そして漆黒の剣を身に纏う鎧。  大きさは180㎝近くあり、体は全身が黒き甲冑に覆われていて、外見からは黒き甲冑を纏った人型の鎧しかわからない。  一撃は重いがかわせない速度ではない――が、厚い甲冑のせいでこちらの斬撃が弾き返されてしまう。  このままではこちらのスタミナ切れで勝敗が決してしまう。  時は満ちた―――。 「そろそろ終わりにするぞ」  俺はこの均衡を崩しにでた―――。  
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