第一章

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   俺はこの村の村長によく頼みごとをされる。すぐに依頼を片付けるところを評価されたらしい。  ただ最近の依頼の内容がほとんど「町外れの洞窟の様子を見てきてくれ」なのだ。  一度理由を聞いてみたが、何かあるみたいで問いには応じてもらえなかった。  しかし村長のことは別に嫌いというわけではないので依頼もちゃんとこなしている。 「それじゃ、村長のところに行くか」  俺は薪割りを一度中断して森を出ることにした。  俺は薪割りを町外れの森でやっているので、村で異常が起きても気づきにくい。だから用があるときはジンクが俺を呼びにきてくれる。  ジンクと村の水がうまいだのあの娘がキレイだの、どうでもいい会話をしながら森の出口までやってきた。  森は北側にありヨルムは森からすこし下の離れたところに位置する。なのですこし時間がかかる。  森を出てしばらく歩き、ヨルムに入って二人は村長の家まで歩いた。   「あー…やっと着いた…」 「もうちょっとスタミナつけようよコノハ」 「そんな呆れたように言わないでくれよ。人には向き不向きってのがあんだぜ?」 「自信満々に言わないでよ…」 俺の言葉にため息をついたジンクは気を改め、村長の家の門を叩いた。
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