序章

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 ――いや、だから、つまり?  つまり、《文学少女》、その言葉。それは私には不釣り合いにも程がある言葉なのだ。  身に余る光栄、美しさ。  読書をしている少女らにとって、最も清純な――もっと言えば、最高峰の地位に立つ――もっともっと言えば、畏怖の念さえも込められている――その《文学少女》と言う四文字。  そりゃなんでも言い過ぎじゃ――いや、そんな事はない。  純粋に文学を好み愛し、読み進める清廉潔白な少女。それが《文学少女》。  身体能力を変え、他のもの(物・者)を蹴散らしてでも読書を続ける私の姿。清廉潔白、少女とはとても言い難い。  それに――私は本を愛しているのではない。  読書、その行為を愛しているのだ。  本は沢山持っている――その数は約七千冊。売ってしまったものや捨てたものを考えれば、所持していた数はざっとを十万を超えるだろう――が、それは愛するが為ではない。  読書をする上で、本――文字を写した只の紙の集まりが、必要不可欠だから私は本を手にする。手にするだけ。  それって結局、本を愛しているって事じゃないの?  まさか、そんな事はない。
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