序章

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 話を戻すと――《本の虫》。  そう。  私は虫なのだ。少女なんてとんでもない。更に付け加えるなら、“本の”ではなくて“読書の”――《読書の虫》と呼ばれたい。しっくりくるし、いかにも私らしい。  虫で結構、寧ろそれでも上等。  読書に対しての執着心が餌に集る(タカル)虫の様に、醜く、強い。  徒歩中の読書に身体能力までもが変わる、本屋に行った時に読書をする人に注目すると言う私の現象も、嫌にしつこい執着心故だ。と考察する。しつこくなければ、それは執着心じゃないのだけれど。  その考察からの結論――  “我、本の為に生きずとも、読書の為に死ぬ覚悟はあり”。  ――さて、一先ず話がまとまってきた所で、我が人生の記録に記そう。  これは前置きにも及ばない、ゴミ同然の私の自白である。しかし、これは未来の私が、私と言う存在、そしてこの時の“出会い”を思い出せるようにする手紙だ。他人へ送るなら兎も角、自分自身へなら、なんの問題もない。  “出会い”の記録。  私と先生と神様と彼――そして霊達の記録。 『二十年後の私へ  忘れっぽい私の事だから、自分の名前さえも忘れてしまっているかもしれません。ですから、内容を書く前に、まずは自己紹介をさせて頂きます。自分から自分への自己紹介、本当、中々に、我ながら洒落てるなあ。乙なもの、いとをかし。  えー、では、改めて。  私の名前は、播磨うがみ(ハリマウガミ)。他称(文学少女)自称(一般人)――只今(2×××年1月9日)から《読書の虫》。読書が大好き、本は嫌い。  そちらでも視えていると、とっても嬉しいのだけど――取り敢えず、今現在では、霊が視える高校三年生です』
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