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『な、なんなの、あの人!? 贔屓しないって、そんなことわかってるわよ!』
今まで職場の人間が、自分以外全員男だったことなんか幾度とあった。
いまさらなんとも思わない、女だからって見くびられないように気丈に振舞っていた。
柔軟性のないキツイ性格に思われたこともある。
けれど、女の子していてはやっていけない世界だった。
『私は絶対負けない』
「すみません、気分を害されたら申し訳ない…一条はあんな性格でも腕の立つシェフです、きっとあなたのためにもなりますから」
メラメラと士気が上がってきたところに、なだめるような羽村の穏やかな笑顔があった。
「羽村さん…私は大丈夫です、ありがとうございます」
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