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金持ちの娘だったとは……。
まったく、そうは見えねえけどな。
まあ、そのあたりの追及は後にするとして、今は、総司だな。
こいつも、中々にしつこい質だからなあ。
「こいつは、その韋駄天からの施し物だ」
「はあ?! 韋駄天から? お茶をですか? と言うよりも、何故湯呑を? どうやって?!」
「さあ?」
「さあ?って! 質問しているのは僕ですよ?!」
「そうだな」
だが、正直に言っているわけだからな。
どんなに総司が、俺の様子を伺って、嘘を見抜こうとしたところで無駄だ。
嘘は無い。
だが、隠している事はある。
まあ、嘘を吐く時や隠し事をする時にゃあ、本当の事をある程度は話すといい。
そうすりゃ、嘘も、隠し事も、真実の陰に隠れて見えなくなる。
気をつけなけりゃいけないのは、それを実行するのは俺だけじゃあ無いって事だ。
つまり、敵方が同じ事をしてきたら、それを見抜かなければならねえ。
ま、難しいところだな。
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