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「ああ、このお茶は美味いから、是非に飲めとさ」
と、ちらりと窓を見ると、兄を蹴り飛ばしながら部屋の外へと追い出している、椿の姿。
おいおい、本当にお嬢様か?
「へえぇ、僕もその韋駄天様に、会ってみたいなあ」
「難しいかもしれねえな」
「む、何でです?」
そんな膨れっ面すんなよ……。
一体いくつだお前は。
「一度お前の前に居た事があるが、気が付かなかっただろう?」
「えぇ?! 居たんですか?!」
「ああ、見えねえんじゃ、しょうがねえよなあ?」
くくくと笑ってやる。
おっと、椿が戻ってきやがった。
「ねえ、さっきから聞いてたら、韋駄天って私の事?」
話しかけられても、答えられないだろうよ。
答えない代わりに、ちらりと視線を向け、にやりと笑ってやる。
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