~ 駆け引きは架け橋 ~

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「いや、こっちの時代ではこれが普通なんだって。 高校だって公立だし、アニキだってそう」 イマイチよくわからないって顔をする土方。 もう、説明、面倒臭いからいいや。 「お茶もスーパーで買うお茶だし、湯呑もそう。 駅前の銀行のオープンで貰ったんだよ! 粗品配るなんて最近じゃあ珍しいねって喜びはしたけどさ!」 「銀行ってのがわからねえが、粗品ってことは誰ぞからの献上品って事か?」 「そんな大層なものじゃないってば! 誰彼なしに配ってたの!」 「そんな金持ちがいるのか!」 いや、だから……。 もう! 話が通じない! ああもう! まじ面倒臭い! 「ともかく、うちは一般庶民! 金持ちでもなければ、店も、持ってないし、武家なんかじゃない!」 それでも怪訝そうな顔を向ける土方。 何故、信用できないかな……。 そのまま土方の方へと手を伸ばし、湯呑を取り上げる。 「おい! まだ飲んでねえっ」 「こっち、飲め!」 と、私のお気に入りの湯呑を差し出す。 .
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