~ 駆け引きは架け橋 ~

13/37
前へ
/173ページ
次へ
訳がわからねえって顔だな。 やっぱり、無頓着だったか。 仕方ねえ説明してやるか。 と、己の使っている物が、どれほど庶民からすると、高直な物か説明してやる。 だが、何故だ、まったく納得しねえのは。 それどころか、金持ちでは無いのだと、いらいらと言い返してくる始末だ。 挙句の果てには、俺の湯呑を取り上げ、椿が普段愛用している湯呑を押し付けてきた。 わかっているのだろうか、これはこれで、中々渋くて趣のある品……。 高そうじゃねえか。 「お、おい!」 取り上げた湯呑の茶を、椿が飲み干す。 俺の飲みかけ……。 今までも不思議で仕方がなかったが、本当にこいつは女子か? 商売女や、すれた人妻ならともかく、未婚の娘が、男が一旦口を付けた物を、平然と使うか? 恥じらいって物は無えのか?! まさか他の男にも同じようにしてるわけじゃあ、ねえだろうな? だとしたら、その男に気があるものと、勘違いされても仕方がねえんだぞ?! それとも何か? まさか俺だから? .
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

977人が本棚に入れています
本棚に追加