~ 駆け引きは架け橋 ~

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「お、お前、まさかと思うが、か、壁に……」 恐る恐る尋ねる俺に、じろりと視線を向け、きっぱりと言い放った。 「そう、割った!」 「何してんだお前ぇええぇっ!」 この娘は、しばしば女らしくない事をするとは思ってはいたが、こればかりは、女らしいとからしくないとか、そういう事ではない。 そんな高直な物を、叩き割るなどと、普通するか?! 呆然とする俺の前に仁王立ちになり、 「高価じゃないって言ったよね! 何回言っても、理解出来ないみたいだから、行動で示してみた!」 「はあぁっ?!」 そして、湯呑を拾い、 「本当は、高かろうと安かろうと、物は大事にしなきゃいけないんだけどね。 いい加減聞き分けないんだもん」 と、仏頂面をする。 ……って、俺のせいか? 聞き分けないって……、俺は、年下の餓鬼扱いかよ。 普段は、おっさんって呼ぶくせに。 「何度も言うようだけどね、そっちとこっちじゃ時代が違う。 物の作り方も違えば、材料も違う  同じ材料だって、入手しやすいか、しやすくないかでも価値は変わる。」 「お、おう」 .
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