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取り出してみようと指を突っ込むと、べとりと、指につく。
「！」
「ああ、ごめん言い忘れた。 それ、クリーム入ってるから、袋から出さないで食べた方がいいよ」
こんな風にね。と、見本を見せてくれる。
なるほど、袋を持ち手にするわけか。
ふと、手に着いた『栗いむ』とやらを舐めてみる。
「？ 栗の味なんか、しねえじゃねえか」
「当たり前だよ。 栗じゃなくって、クリーム！」
わけがわからん。
まあともかく、この緑色を食ってしまおう。
今度はがぶりと噛みついてやる。
「ぶほっ！ おま、これ、抹茶の癖に、途轍もなく甘いじゃねえかっ！！」
「そりゃケーキだからねえ」
驚く俺に、さらりと答えを返してくる椿の頭を、はたきたい衝動に駆られる……が、しない。
こんなでも一応は女子だ。
手を挙げるわけには、いかねえだろうよ。
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