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「土方ぁ、明日から、窓開けてもあんま相手に出来ないからね」
いつの間にか開けている、『雑誌』とやらを、ぱらぱらめくり、言葉を投げてきた。
「どうした? なんかあんのか?」
「うーん、試験勉強しなきゃなんだよ」
「試験?」
何かの道場……いや違うな。
「学問か」
「そ、学校の試験」
「女だてらに、学問ってのも大変だな」
「前にも言ったけど、女っての関係ないから」
ぎろっと、雑誌から視線を上げ、睨みながら言う椿。
この俺を、一瞬でも怯ませる事の出来る女は、椿くれえのもんだろうな。
「試験が終わったら、時期に休みだからね」
そう言って、机の上にある暦を指でなぞっている。
椿の指は、細く長い。
とてもじゃないが、あの細い指で、色んな物を放り投げてくるようには、思えないほどに。
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