プロローグ

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夏祭りで定番の夜店が並ぶ大通りから別の夜店が並ぶ大通りに行こうとしたとき 莉子は俺の手を引いて走った とても嬉しそうな溢れんばかりの笑顔で もし、その彼女の笑顔が自分に向けられた最後の笑顔だったとわかっていたらあなたはどうしますか? 俺には何も出来なかった 目の前から瞬時に消えた溢れんばかりの笑顔を浮かべた彼女はその笑顔を貼りつけたまま道端に横たわっていた 苦悶の表情を一欠片も表さずに それが俺にとっての唯一の救い もし、その貼りつけた笑顔が偽物だったとしても俺に心配をかけまいとして笑ってくれているのだと
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