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「いって。ったく、蹴るなよバカっ」 「そっちこそそんなデカイ図体しといて突っ立ってんな、バカ」 わーわー、と言い合いをする2人の声は静かな闇に吸い込まれていく。 「ちょっとー。そこの2人。痴話喧嘩してないでさっさと来てよ」 数メートル先の、本棚に立て掛けられた梯子に上り重たげなランプを片手で持って本を探すのは少し苦労なようだった。 タサナの一言に苦笑いし、梯子の足元に歩み寄ってランプを受けとる。 「つーか、あの組織の本があるってあの組織、相当古いんだな」 タサナを見上げてボソボソと核心を突くような一言を呟いた春樹。 「あたしも思った」 どうやら2人して同じことを考えていたらしい。 「少し違うわね。あの組織って裏の人間によると通称ペルソナって呼ばれてて出現したのはいつの間にかだったそうだけど今から約五、六年前に現れたらしいわ。だからそんなに古くないの。したがってこの書庫のここの管轄には存在しないわ。だけど、国際警察の創始者によればなんだかそんな存在が当時からいたみたいなの」 タサナは背表紙を辿り、赤い、革表紙の分厚い本を取り出す。その動作に従いぼわっとホコリが舞った。
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