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俺が彼女の側に行く間もなく
彼女のピンク色の浴衣はどす黒い赤色に染められて
道路に血溜まりを作って
破裂した金魚の袋から流れ出した水も血溜まりに加わって
金魚たちはその中でピチピチと水を求めて跳ねて
全てを茫然と眺めていた
野次馬の誰かが救急車を呼んでくれたみたいだが
もう助からないのは分かっていた
ただ
俺は
全てを
眺めることしか出来なかった
彼女の遺体から何の理由もなしに自然と目を離すと彼女の足下に
俺から取った白いウサギの仮面が
赤いウサギの仮面となって転がっていたのを覚えている
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