秋桜

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白い つがいの蝶が ひらひらと 人目をはばからず 寄り添っている 短い命 やがて地に落ちるとも その小さな姿には 永遠の愛があった 天へと還る 羽ばたきがあった 弱く儚いものが 何よりも誰よりも 強く見えた 目の前には秋桜 そこに白い蝶が 一人降りてきた 弱そうで 寂しそうで さて 例えるなら私は 彼なのか 彼らなのか 物思いの間に つがいの蝶は どこかに消え 彼だけが残った 秋桜はただ静かに咲く つつましく 何も語らず
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