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そんな時、高くもなく、低くもない声が私の名前を呼んだ。
「三上 吹雪 …で合っているだろうか。」
本から視線上げ、頭を上げると、おかっぱの女子のような男子生徒がいた。
制服を見ていなかったら、女子だと思ってしまっていただろう。
「うん。三上吹雪ですけど?」
「この本の感想を聞かせてくれないだろうか。」
そう言って、差し出された本は、前々日私が借りた本だった。
「『南総里見八犬伝』を読んだ事は?」
「ない。」
「なら、こっちより、もうひとつの方が現代風で読みやすいよ。何せこっちは、原文付きだからさ。」
「そうか。なら、そちらを借りるとしよう。時間を取らせてすまなかった。」
おかっぱ君は、私に名を告げる事無く立ち去った。
少年に告ぐ。
一体君は何がしたかった!?
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