序章・後編 前世との決別を始めよう

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入学式も終了し、新入生は自分達の教室へと移動する。 引き戸のドアには、座席表が貼られていて、私は窓側の前から二番目と記されている。 どうやら、私が一番乗りのようで、誰も居なくて、静まりかえっていた。 どれぐらい時間が経ったのだろうか。ずっと外を眺めていた。 気が付けば、ホームルームが始まろうとしていた。 「じゃあ、名前順に自分の名前と生年月日と趣味を言って下さい。」 …。ノリが小学生の先生のようだが、あえて気に止めないようにする。 世間からすれば、小学生も中一も大差無いのを思い出す。 「次、三上さん。」 先生の自己紹介を促す声がした。私は立ち上がり、抑揚のあまりない声で自己紹介を始める。 「三上 吹雪  12月24日生まれ。趣味 音楽鑑賞。よろしく。」 簡潔に終わらせた。 我ながら、可愛いげの無い餓鬼だと思う。 周りには沈黙が訪れていた。 いち早く我へとかえったのは、私の後ろの席の子だった。 何もなかったかのように、自己紹介を始め、そこからやっと元の雰囲気に戻る。 何だっていいから やり直したい。 元からある記憶から全て、リセットしてしまいたい。
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