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私に話しかけてきたのは、後ろの席の子だった。
「ねぇ、三上ちゃんは部活何に入るの?」
…………。
『三上ちゃん』って何!?
彼女、目黒 春香 との初会話で、まず思ったのは、これだった。
「多分、テニス部。」
「そうなの?私はテニス部のマネージャーしたいの。」
「なんで?」
「だって、日影にいられる。」
彼女は、いつもと変わらない、優しい笑みを浮かべた。
誰かが、彼女は性格もよく、かわいいと言っていた。
しかし、私にとっての彼女の第一印象は、
『この子、中々いい性格してる。』
これである。
天使の笑みも、先程の会話の延長だとすると、………。
私は彼女を見て、呆れたように笑った。
何はともあれ、これが後に私の親友となる、目黒 春香との出会いだったわけだ。
例えば、もしこの世に神がいたら、そう仮定しよう。
もし、そうならば、「ありがとう。」と言うべきか?
地上に生まれ落ちた、天使の如き笑顔を持った少女とこの私を巡り会わせてくれたのだから。
元よりひねくれていて、冷たかった私の心が、
静かに溶けていった。
そんな気がした。
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