序章・後編 前世との決別を始めよう

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三上 吹雪 と名乗った少女は、あまりに現実離れしていた。 入学式終了後、私達新入生は、自分達の教室へと向かった。 幼馴染みや知り合いとは、クラスが離れ、新しい気持ちに入れ替え歩き出した私。 案外早く教室に着いたつもりの私は、一番乗りでない事に気を落とした。 窓際の前から3番目。そこが私の席だった。 前に座っている子は、ボ―ッとした子なのか、ずっと外を眺めていた。 いよいよ自己紹介の時間になって、少なからず周りはざわついていた。 「三上吹雪 12月24日生まれ 趣味 音楽鑑賞。よろしく。」 ついつい見とれてしまった。 大人びているのではない。中身が大人なんだ。 自分で立つ強さがあった。 自分の自己紹介を終えても、未だ熱は冷めない。 運命? いいえ。必然。 私はこの子と仲良くしたい。 いいえ。 仲良くするの。 私が生まれて初めて、初対面の他人に興味を抱いた、記念的な日。
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